悪童の様な大人たち
「ゆうー、これ今考えてるやつのプロットなんだけど見てくんなーい?」
そう言って渡された殴り書きの様なものを見る
相変わらず雑な字だなと思いながら目を落とす
一通り目を通して俺は片割れの相変わらぬ頭に感嘆を覚えた
「オチと伏線の敷き方の点は好きな方だし満足だがコイツをこのタイミングで出すわけがよくわからん」
「あーソイツね、一応暗喩で〜〜・・・・」
ん?
「そうか、それなら良いかもな。書いたらすぐ見せろよ、楽しみだ」
好き?満足?
楽しみ?
「その気持ちは嬉しいけどゆうも仕事あるからむずかしいじゃんー」
「あぁ…そうだな……面倒だ」
面倒?
”俺”はさっきから何を言っているんだ
*
「ゆう?」
様子がおかしい
「…あ、あぁ、いや、なんでもない」
笠間 裕、僕の片割れ、大切な兄弟
仕事で疲れた顔なんかはたまに見るけど、こんな惚けた顔を見るのは初めてだ
「…一ノ瀬 壱翔で有名なシーンの真似」
「あんなアクションこの場でできるか馬鹿」
うん、俳優ネタに即座に食いつくから問題ない
そう思った次の瞬間、
「なぁ揺
学生戦争系とか、どう思う?」
「何いきなり、さっきからおかしいんじゃ---」
言葉に詰まった
こんな面白そうなこと考えてる顔してる裕を見て、僕が先を促さない訳がないじゃないか