黎明の霧

主に企画や妄想でできた設定などの書きだめです。

きっと烏か何かだろう

階段を登る
鳥居をくぐり
そのまま上には行かず横の小道を
そして大きな木に辿り着く

そういや何かのゲームで見た光景だなと1人呟く
首を吊ろうと神社へ向かったオンナノコ
いや私は自殺志望者では無いのだけれど

特に訳はない
ただこの木が気に入っているだけなのだ
ある意味一目惚れのようなものだ
幼い私はこの木に感動を覚えた

よく来たねと木が囁く
まぁそれは比喩でただ木が風を受けて枝と葉を躍らせただけだ
いや、これも比喩だと1人つまらぬ事を考える

此処には木がある、ただそれだけだ
自らに何かしらの感情を抱く相手もいない
だから気が楽だ

2時間程経っただろうか
もう暗くなるからお帰りなさいと囁かれた気がしたので帰ろうかと思う

「また来るね」

そう木に話しかけて小道から階段へ
後ろの方から何かが羽ばたく音がするが振り返らずただ階段を下る

『またおいで』

毎度聞こえるその声に私は決まって右手を振るだけに留まるのだ