黎明の霧

主に企画や妄想でできた設定などの書きだめです。

花と宝石と星

《棘が刺さったままの花弁は傍観に徹する》


あの女が殺されたからといって特に僕には関係無い

一応1部隊の隊長を任される実力者だったけど、別に勝利なんて求めてるわけでも無いし

なんてボヤいてたら新しいナカマが赤軍に入った、なんてさ

あの女なんて結局、上の方らにはそんなもんなんだろうなぁ

嗚呼…それは、僕も同じか

期待なんてもとからしてなかったけど面白く無いなぁ


おっと、うっかり飴ちゃん噛んじゃった

……暇だし、新入りの子でも見に行くかな




「こんにちは、今日から暫くこちらでお世話になる事になりました。」

ヨイノ セキと申します。

そう微笑んだその顔を僕は知らない

(少ししか見た事ないけどもっと無表情だったのに)




祐斗にでも壊されたのかな



それとも はじめから??




《枷となりうる宝石はとうの昔に星に焦がれて》



鼓動が早まったのがわかった

目を、耳を疑った

一度頬をつねってから漸く理解できた

嗚呼、嗚呼…また会えたのだと


僕が病院通いのせいで引き取ることはできないと言われたあの年のことを思い出した


兄さんとは無理だったけれど、親戚であったこの子と一緒に恩を感じているこの赤軍にいれるのか

嗚呼、時が止まってしまえばいいのに


その呟きが聞こえたのかこちらを見た彼と目があった


なんということでしょう

彼は

あの瞳で
あの時とまるで変わらない雰囲気をまとって
忘れてないと伝えるかのように 微笑んだ!
そう、僕を見て!!!



かみさま、これが ゆめなら ぜひとも さまさないで ください




《元の輝きを再び得た星は只々嗤う》




嗚呼もう黙っていてくださいセキ

この身体はもう僕の元へ帰ってきたのです、とっくに君のではないのです

残留思念は大人しく消えるか、翠と碧のアソビ道具にでもなっておけば良いのです


とは言え出だしは順調、

何かの縁があったのかセキでなくても僕に従う従順な道化もいる上に、ここは確かに居心地が良い
流石は亡き兄姉が来る予定だった所だ

昔、何かと僕を気にかけてくれたであろう善良な彼もこちらにくれば良かったのに

ただでさえセキと縁を結んできた者を切り離してきたのだ、彼のような人格の持ち主がいるのならぜひとも側に置きたいものだ

……まあ、たとえ側に誰もいなくとも僕は僕の道を行くのだけども