黎明の霧

主に企画や妄想でできた設定などの書きだめです。

リンネ替え歌

黒い影が呟いた
「部屋の内にお入りよ
どうせ周りにゃ監視の目」

ベットで猫が問いかけた
「あなたはそれを求めてる
得れなかったらどうするんだい」

三画の令呪携えて
俺は 独り 鴉 鳥籠[カゴ]の中
胸に誓いをそっと立て
手を伸ばす

まだどうか どうか夢よ
たったひとつの願いよ 消えないでおくれ

教えて父さん 父さん ねえ父さん
声が聞こえた ような気がした

綺麗な造花は呟いた
「理想の姿 変わらぬ理想
どうせ貴方も同じでしょう?」

雨が雪に変わる頃
「俺の望みは魔術師の悲願」
哀れな大人に 嘘を吐いて

小さな欲望がドロドロと
零れ出す

「見えない」と
嘆いて 嗤って
視覚を無くした
小さなコドモ

教えて母さん 母さん ねえ母さん
見えぬ貴女の 行方は何処へ?

軋む軋む 錆びた鎖
ここには無い ここに希望は無い
左、左、それとも右?
【願望機】へと到る迷路

カラスは言う カラスは言う
「きっとその夢は叶わない」
「お前は永久[とわ]にこの家の中」

まだどうか どうか夢を
小さな希望を見せていておくれ

さよなら父さん 母さん ねえ聞いて
あの日 俺は
当主[オトナ]になった

絶えず願う
二人 一人
通った道は
振り返らずに

さよならキャスター キャスター ねえキャスター
ぐるぐる鎖に
巻かれながら

「一人哀れに眠れや少年」