黎明の霧

主に企画や妄想でできた設定などの書きだめです。

翅を千切った雀蜂連れて

ぴんぽーん

ぴんぽーん



「おじさーん、あそびにきたよーアイスちょーだーい!」
「おじゃまします」

「おー琉也と亮哉か、今そっち行けねえから勝手に上がっていいぞ
アイスも勝手に食っていい」

「「はーい」」

いまから

あのひとのところにつれてってあげる










「母さん、」

「なぁに琉也」

「亮哉と遊びに行ってくる」

「……どこに?」

空気が悪くなった、
母さんは一拍おいてそう尋ねたのだが
笑顔が下手くそだ

「駅の近くの公園」

「あらそうなの!暗くなる前に帰ってらっしゃいね?」

これは本当の笑顔
母さんは俺たちがあの人、叔父に会いに行くのが嫌らしい

「亮哉、行くぞ」

「あ、琉待ってよー」

別に嘘は言ってない
公園に行ってから叔父所に行く予定ではあるだけ
嘘ではない






公園に着いた

今日は全然人がいないから貸し切りだね、と琉に笑いかけた

けど、琉は何かを見つめていた

「琉?どしたの??」

「……ブランコのとこ」

「え?」

キィ……キィ…

1人でブランコを漕いでる子が1人

その目は見たこともないくらい綺麗な赤色

「あんなこ、この辺でいたっけ??」

「俺は見たことない」

「んーどうしよっかな、話しかけてみるよ」

「ちょっ、待て!」

琉の制止なんて聞かないで行く

「ねぇ君!」

「えっと、なんですか?」

「1人で遊んでたら楽しくないでしょ?僕らと遊ぼ!」

「いいんですか?」

目を瞬かせる赤目の子は同じ年代とは思えない口調

「うん!僕は神立 亮哉であっちにいるのが双子のにーちゃんの神立 琉也、君は?」

「りょうやくんと、りゅうやくん…




ぼくは、よいの せきです」






赤目の奴…汐は俺たちの一つ歳下かつ、この公園の近くの御屋敷のこどもらしい

普通に喋って、遊んで時計を見ると4時より少し前

あぁ、そろそろ叔父のところに行くか

「亮哉、行くぞ」

「えぇ〜……」

「元々行く約束だっただろ」

「もう、行っちゃうんですか……?」

「……そんな顔をするな、また来る」

そう言って撫でると汐は擽ったそうな顔をする

「あー汐ずるい!僕も!」

「餓鬼か」

「あ、あの!来週の土曜日っていけますか……??」

「んー、多分大丈夫だよ。ねっ琉!」

「そうだな」






少しボロいアパートの2階

叔父さん家はその右側

インターホンを押そうとするけど、琉がそれを遮る

「どしたのりゅ「誰かいる」…え?」

ボソッと告げられ、耳をすます

『なんでも言うこと聞きますから…』

(…少し低めの女の人の声?)



『わたしを理解してくれるのはもうあなたしか…………!』

『あーわかったわかった
お前を愛してやって構わねえよ』

『ほ、ほんとう……?』

『俺が嘘ついたことあったかぁ?なぁチヒロ』

『あ、あなたは私に嘘なんてつかない』

『そうだ

嗚呼、お前さ、俺に愛されてぇなら………………チヒロ、駅近くの屋敷わかるか?』

『?…ええ、まぁ』

『あーお前の心準備とか考えると……そうだな二週間後の…日曜にでもその家の奴全員殺せ
そしたら愛してやってもいい』

『……ッ!?』

『安心しろ、それで警察に行こうが出てくるまで待つし、地獄に堕ちようがついてって、愛してやるよ』

そう言って笑い出したおじさんの……いや、おじとすら思いたくない男の声に吐き気がして、思わず僕は琉の手をつかんで走り出した

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……!!!









「あっりょうやくんりゅうやくん!来てくれたんですね!」

「うんもちろんだよ!ねっ琉!」

「約束だったしな」





「ねぇ汐、来週の日曜って空いてる?」

「んーと……はい!」


「そっかー!」






ゆーやけこやけで

ひがくれて

やーまのおてらの

かねがなる

おーててつないで

みなかえろ



からすといっしょに




「結構遅くまで遊んだし……大丈夫だよ、ね」

「これが俺たちにできる最大のことだったろ?」

「…………うん」



かえりましょ







「ほら、帰るぞ」






『続いてのニュースです

今日夕方、○○市にて一家殺人事件が起こりました

犯人とみられる者は何故か既に亡くなっており

警察は保護したヨイノ セキくんへのカウンセリングと共に
事件の詳細をーーーー






「あの女の人?死んだらしいな」

「うん、そうらしいね
おじさ……ううん、あの男死んじゃったかな??」

「地獄に堕ちたらついてくって言ってたもんな」

ケーサツの人に話して、少しだけ汐と会った

「あー……でもさ、お葬式とかしてないよね??」

汐は壊れてた

「あの男、嘘つきなんだな」

あの男が壊した

「そうだね
あ、もしかしたら失敗したのかも?」

「失敗?」

「うん

あーそうだ、もう夏だね」

「亮哉、ちゃんと話せ、訳がわからん」

「ごめんごめんw

いやね、もう夏でしょ?









スズメバチもいるよねーってね?」