黎明の霧

主に企画や妄想でできた設定などの書きだめです。

かつての操り人形は変わってしまった主を気に入ったようで

「なぁ茜、理央」

「?なんだい秀兎」

「わからないところでもありました?」


もう珍しくも無くなった中1の彼へ向けた高校・大学レベルの勉強の中、その中心である小さな少年が顔を上げ

「ユウトセンパイとか言う奴、知ってるか?」



どこか懐かしさを感じる相手の中を暴こうとしている目でそう問うた(僕/俺たちにとっての毒を吐いた)



「あんたら情報収集の域と人脈けっこう広いだろ?
なぁ、知ってるのか??」



いや、”あの時”のよりも好奇心と興味を持った眼差しか

アイツも昔はこうだったのだろうか


「……その、ユウトセンパイという方は何を?」


2つ歳下の、といってもかなり大人びたこの事柄に関しての相方が問うた

いつも通りのその表情なところを見る限り流石だと思ってしまう

「俺も詳しく知らねぇけど、なんか知り合いの兄貴が泣かされたんだってさ」


「……そう、ですか

すいません、俺の知り合いにはいないみたいです
また少し探ってみたいのでその知り合いの方の名前を伺っても?」


こう見ていると転生してはいてと傍観者的な立ち位置であるこいつが一番、学生兵のようで少し可笑しく感じる

まぁ、僕も人のことは言えないか



嗚呼、この子をアイツに戻そうとするのは一体誰だろう?



「同じクラスの井野って奴」



「井野さん……、わかりました探してみますね」


「それにしても……秀兎が気になるのかぁ、その井野って子のこと気に入ったの?」

恐らくその子も転生者、あまりいらないことを教えず済めばいいんだけど



「んー……俺の顔見た時の目が、な」









そう言いながら目を細めるその姿が、僕の嫌いなアイツそっくりなのは見ないふりをした




















「あ…そういえば秀兎、理央さん、五十土の新作出てましたよ
買ってはいないですけど」

「えっ、まじかよ見つけたなら買っといてくれって言ったじゃねぇか!」

「お金なかったんですよ」

「んー……どうする秀兎、一回休憩して買いに行く?茜はおいといて」

「えっ」

「おうそうすっか!」



五十土 亮哉

この子のお気に入りの作家で、元々読書が好きな僕も大体の作品に目を通した



恐らく彼は


”貴方も大変ですね”


と、嗤いかけてきた僕と同じくアイツに使われていたあの双子の片割れなのだろう


(あの時に戻ったようで忌々しいと感じるなんて)