赤色の夢が覚醒するまでの
赤い女
赫い地面
緋い刃物
紅い空
……朱い手
これ以上こちらへ来てはいけないよ
そう声が聞こると同時にみどりとあおが見えて
*
*
*
「……あ、れ?」
公園のベンチで目が醒める
いつもの夢
赤い夢
けれど今日は……?
おかしいと呟く声がまるで別人のように聞こえて
「な、に…これ」
こころがさむい
こんなことは今までなかった
「や、だ…」
たすけて
*
「律くーん!」
「…君か、何の用だい?」
自らを呼ぶ声に振り向いた律は眉をひそめ問うた
「ねえねえ律くん!わたしとお散歩いこっ!」
「なんで君と行かなきゃならないんだい?」
この少女、戯夜に冷たく対応するのは一種の本能的なものであることを彼は未だ気付いていない
それに気づくだけで真実に近づくのに、と遠目から眺めていた男は哀れに思った
「むー……いいもんいいもん!わたしひとりで行くもん!」
そう言って駆けて行った少女を男はばれないように追う
「…こんなことにどんな意味があるんだ」
-this was may be Introductory chapter.