それがはじめて理解できた感情で
父の模倣
父の模倣
母の模倣
父の模倣
弟の模倣
自らの存在を理解しきれなかった彼が一番初めに始めたのは[観察]と[模倣]だった
*
「あら、二人とも早いわねぇ」
「えへへ、おかあさんおはよー!」
-おはよう
「えぇ、おはよう
ちゃんと挨拶できていい子ね」
(いい子、それが正しい子)
-……かあさん、あさごはんてつだう
「んー…嬉しいけどすぐ終わっちゃうの、だから着替えてらっしゃい?」
そういい、かあさんは俺たちの頭を撫でる
「はーい!りゅう、いこっ!」
頷き、後に続く
(今日も、頑張ろう)
大丈夫、だって俺は[いい子]なんだから
*
「ねぇ琉、琉は黒軍にいくんでしょ?」
-そうだな
「うん、黒には汐もゆー君もいるもんね」
-亮哉?
「なら心配なんてないよね!」
-何を言ってるんだ亮哉
「琉、僕ね…白に行くよ」
その言葉を耳に入れた時の俺が感じた感情が[絶望]だったというのは暫くしてから理解することができた