黎明の霧

主に企画や妄想でできた設定などの書きだめです。

人造人間の追憶

私は生まれました

盗み出されたとある技術によって

知識も自我もきちんと兼ね添えていました

ですが、捨てられた場合の対処法は知りませんでした


だから、真っ黒い服を着ていながらも

消えて無くなりそうな私を救い出してくれた貴方は
紛れもなく恩人で

初恋であってもおかしくなかったのです

恩返しをしたいと思うのは間違いではない



「だから私は聖杯戦争に参加したの」



あの人の願いを叶えるために

その願いが例え、世界を滅ぼすようなものでも構わない

とある転生者の一面

『ねえうみ君
あなたは他の軍に行くの??』

見定めるような目を向けてきた年下を軽く眺め、どうだかなと肩をすくめた

『へえ、そうなんだ
あなたのそういうところ、嫌いじゃないな僕は』







酷い虚無感に襲われ、目が覚めた

ここの所ずっとそうだ

死ぬ感覚に近いそれはリアルでの死とはまた違った不安感を煽る

どうせ暫くは寝れないのだと何も入れてない珈琲を口に含む

いけないと思いはするがある意味安定剤代わりとなっているそれの苦味が口によく合う



このまま無駄に時間を潰すのも良いが、やはり何か惜しい気にもなりうっかり本に手をかけてしまう

死生学
輪廻転生
運命、定め

それらを題材とした本は珈琲と同じように心を鎮める

この世界はどこまで[私の知る世界]なのか、
私は何なのか
運命を変えることができるのか





今更この戦争の行方を案じるようなぬるい人間ではない
だが、せめて償う機会を得れたのだ、頑張らねばならない

破綻者の枷

『ゆーくんあそぼっ!』
『ねえねえあそぼーよ!』
『ねえってばー』

少しの間そう言い寄られていた少年の目は昏い
少女に手を取られると同時に目を見開き、硬直した少年はそのままちかくにあった*をーーー










体が冷えて
食べるものがなくて
誰も見もしなくて
哀れで
醜くて
壊れている

『ーーごめんね、その気持ちは受け取れないよ』
裏切られて

『あ…これ、はちがっ……!』
裏切られて
信じる者もいなくなり
周りにはただの駒たちに
恩人なんていなかった
親友なんていなかった


[パチッ]


そんな自分のための枷
暴走しないためのストッパーでもある小さな枷

このとても小さな、一瞬だけの痛みに**を

わがままを言うとすれば、そろそろ消えたい
そんな思考は今更どうこうできるものではないのだ














……嗚呼、少し腹が減った
まぁそんなことはどうでもいいか


夜の街
夜のビル
その屋上で黒の衣服に身をまとわせた彼はそうひとりごち、目を閉じた

それがはじめて理解できた感情で

父の模倣
父の模倣
母の模倣
父の模倣
弟の模倣

自らの存在を理解しきれなかった彼が一番初めに始めたのは[観察]と[模倣]だった






「あら、二人とも早いわねぇ」

「えへへ、おかあさんおはよー!」

-おはよう

「えぇ、おはよう
ちゃんと挨拶できていい子ね」

(いい子、それが正しい子)

-……かあさん、あさごはんてつだう

「んー…嬉しいけどすぐ終わっちゃうの、だから着替えてらっしゃい?」

そういい、かあさんは俺たちの頭を撫でる

「はーい!りゅう、いこっ!」

頷き、後に続く

(今日も、頑張ろう)


大丈夫、だって俺は[いい子]なんだから






「ねぇ琉、琉は黒軍にいくんでしょ?」

-そうだな

「うん、黒には汐もゆー君もいるもんね」

-亮哉?

「なら心配なんてないよね!」

-何を言ってるんだ亮哉

「琉、僕ね…白に行くよ」



その言葉を耳に入れた時の俺が感じた感情が[絶望]だったというのは暫くしてから理解することができた

すべてをすてたはたんしゃ

とて、とて

誰もいない部屋の中に響くぎこちない足音

「……びゃくや、」

彼は自身を[壊した]相手をまるで鳥の雛のように探している、
その表情は見た目よりはるかに幼い

「…いない……」

そう呟いた彼の目も光を失った風に見えるがどこか幼い

彼はそのままぎこちなく歩き、本を取り、静かに読み始めた

実はこの廃人、飼い主がいない時が一番行動するタイミングになるのだ






なにもしらない しょうねんが いました

かれは ちしきをもとめるにつれ
さまざまな しつぼうを てにいれました

「神がいるのならきっと其奴はとんでもない道化師なのだろう」

しょうねんは そう かたっていました

それでも しょうねんは もとめるものが ありました

そののち しょうねんは むいしきに いぞんし あいされたいと おもうように なりました

ですが しょうねんは それの うけとりかたを しりませんでした


ふと、みずからの こま であり あいがんどうぶつ である おとうとぶんを みて むいしきに おもいうかべました

じぶんが こいつのように こわされたら

・・・と

そのしこうが かなったのは よそうがいだったのですが






「ん……」

それまでに培った何もかもを手放した彼は、その反動か睡眠を求める頻度が増えていった

実際、今も読書中に夢へと旅をしにいってしまったようである







それを傍観していた影は苦笑いをしながら、懐かしいものを見るような目で、哀れだと言うかのような目で、呟いた

「今までで一番幸せそうで何よりですよ、祐斗……いや、‘‘ゆーにぃ”」

赤色の夢が覚醒するまでの

赤い女
赫い地面
緋い刃物
紅い空

……朱い手


これ以上こちらへ来てはいけないよ


そう声が聞こると同時にみどりとあおが見えて






「……あ、れ?」

公園のベンチで目が醒める

いつもの夢
赤い夢
けれど今日は……?

おかしいと呟く声がまるで別人のように聞こえて

「な、に…これ」

こころがさむい

こんなことは今までなかった

「や、だ…」



たすけて






「律くーん!」

「…君か、何の用だい?」

自らを呼ぶ声に振り向いた律は眉をひそめ問うた

「ねえねえ律くん!わたしとお散歩いこっ!」

「なんで君と行かなきゃならないんだい?」

この少女、戯夜に冷たく対応するのは一種の本能的なものであることを彼は未だ気付いていない
それに気づくだけで真実に近づくのに、と遠目から眺めていた男は哀れに思った

「むー……いいもんいいもん!わたしひとりで行くもん!」

そう言って駆けて行った少女を男はばれないように追う





「…こんなことにどんな意味があるんだ」










-this was may be Introductory chapter.

ロジウラダンギ-俯瞰より-

マスクをするのは顔の半分を隠すため

ピンを止めるのはあいつの顔と似てると悟られないため

自ら関わろうとしないのは失わないため



銃を握るのはお気に入りを*すため






prrrrrr


『琉も大概だよねwゆー君のこと言えないwwww僕もだけどwwww』

-何の用だ五月蝿い

『明日、いつものとこね?』

-……わかった





-あっいたいた-
-破綻者と偽善者だ-



人の気配もない路地裏

個性のない古ぼけた建物

その上に立つ影の一つは心の中でくすりと笑い、嗤い、横目で自らの片割れを見た

執着の目、明らかに殺したそうな目

遠くからかつての友人……否、今も友人ではあるが、アレを眺める時よりかはマシかとは思いながら目を細めたその影は下の二つの影に悟られぬよう声を発した

「琉はりっちゃんお気に入りだねー」

片割れの悪い癖を最も理解をしている

否、同じ穴の狢であるのだが

彼は返答がなかろうが言の葉を続けた

「僕はさいきんりっちゃんかわいそうだなーって思うよw

あ、そうだ僕の友達……わかってること前提で言うけど、あの子殺したらりっちゃんも汐も僕が殺すから」

少しの殺気を零しながらそう語られたら片割れはそちらには目もくれずただ一言

「五月蝿い」

と返した









(お前がそいつを殺す際はどうせ俺の姿に化けるのだろう?)